【デザイン思考】ビジュアルコミュニケーションという方法について


■イメージと言葉がセットになる「ビジュアルコミュニケーション」について
デザインに関する仕事をしていると、あらゆる場面でお客さんとのコミュニケーションが発生します。僕がやっている仕事はリアルベースとwebベースに分けられます。webベースでは、文字とイメージのみで、コミュニケーションを図ります。言葉とイメージだけで如何にお客さんの意図を汲み取り、イメージにして提案を行いながら、モヤモヤとしたイメージを解体しながら、具体化して行きます。目に見えていないような漠然としたお客さんのイメージを明快なビジュアルに落とし込むことがデザイナーとしての役割となります。言葉だけでは誤解が生じるし、イメージだけでもコミュニケーションは成り立ちません。デザインの意図や狙い、切り口を説明し、どうしてこのようなデザインバリエーションとなったかを補足で説明することによって、デザインプロセスのストーリーを理解してもらえることになります。
■ビジュアルコミュニケーションのプロセス
僕が気をつけている点は、ヒアリングしてからラフスケッチを描くようにしていることです。一気に仕上げまではいきません。お客さんと一緒に、未だ見ぬ道の世界を探検していくイメージです。自分でも最終的に行き着く先はわかりません。徐々におぼろげながら見えてきて、なんとなく方向性が出てきて、少しずつ霧が晴れて、最後には視界がクリアになる。そんなデザインプロセスをお客さんと一緒に創り上げていくことが、何より自分本意で突き進むよりも好きです。
コツコツ継続して案件をこなす事で、お客さんのストライクゾーンとなるビジュアルがどの辺りなのかが見えてくるようになります。ヒアリングとラフスケッチ、仕上げイメージなどをあらゆるツールと発想を駆使して密になって、刷り合わせを行いながら、一緒に創り上げていきます。上手くいかないこともあります。途中でコミュニケーションが破綻してギクシャクしたり、お互い過剰にコミュニケーションを取りすぎてしまうこともあります。それでも様々な要望を頂いて、毎回応えていくという経験から学べることがたくさんあります。不安もあれば失敗もある。たまに成功もある。その一つ一つの経験を糧に新たなデザインに取り組んでいくことで、少しずつですがコミュニケーションの精度もデザイン提案のレベルも向上してきたんじゃないかなぁと思えるようになりました。デコボコしながらも、少しずつ前進して進んでいます。自分よりもセンスもあり行動力もあり、素晴らしいイラストやデザインを提案できるデザイナーさんはこの世の中たくさんいます。それでも、譲れない部分は、密なコミュニケーションを通して、イメージの精度を上げていき、一緒に共創していくというスタンスなんだろうなぁと自己分析をしています。
ビジュアルコミュニケーションを通して、誰かの頭のなかにあるイメージを明快にすることが視覚表現を追求する身としての命題となっています。ドイツバウハウスで活躍したパウルクレーは「見えないものを見えるようにするのが芸術家だ」と言いました。僕自身も、ビジュアルコミュニケーションを通して、実現したいテーマの一つです。